熨斗の話

贈答品に使われる熨斗
贈答品に使われる熨斗
七月に入ると中元。七月初めから中頃までが一般的なお中元のシーズンです。 お中元には熨斗・水引(みずひき)を印刷した「熨斗紙」が掛けられています。 もともと、熨斗と水引が別々のものなのですが、簡易化され、印刷物となっています。 金封についている熨斗や、のし紙やのし袋に印刷されている熨斗の原形は、白い和紙の上に赤く染めた和紙を重ね合わせ、束ねた伸し鮑を包んで水引で止め結んだもので、祝賀の贈答の際に贈り物に添えて用いられていたものが、後に疑似簡素化したものです。 水引(みずひき)は贈答品や封筒に付けられる飾り紐のことで、室町時代の日明貿易において明からの輸入品の箱全てに赤と白の縄が縛り付けられており、この縄は明側が輸出用の品を他と区別するために目印に過ぎなかったが、日本側がこの縄を贈答に使用する習慣と誤解し、以後の日本で贈答品に赤と白の紐をかけるようになったそうです。 伸し鮑の製法は、貝の鮑をかつら剥きに長く切り伸ばし、生干しにして木槌で叩き伸ばして、藁筵(わらむしろ)の上で天日にさらして乾燥干しにして仕上げたものです。四方を海に囲まれた日本では、昔から海の幸に恵まれ、特に鮑は重要な食物で古来より神事のお供え物として用いられてきました。伸して干した鮑は、栄養価が高く長持ちすることから中世には武家の出陣や帰陣の祝儀に用いられ、戦場の貴重な保存食ともなりました。江戸時代には長生き長持ちの印と重宝がられ、祝事や慶事の儀式に高価な贈答品として用いられるようになり、時代の移り変わりと共に前述の和紙に包んだ「熨斗」を贈答品に添える風習が根付きました。 また、仏事における精進料理では魚などの生臭物が禁じられていますが、仏事でない贈答品においては、精進でないことを示すため、生臭物の代表として熨斗を添えるようになったともされています。